この節の目次
運転席から道路を見るゲームと、車の後ろから車体ごと見るゲームでは、見える範囲が違う。この章では、見る位置を変えたときの身体の感じ方と成績を調べる。その入口として、映像のどこを根拠に1PP/3PPを判定するかを決めよう。第1章の一人称と三人称を使う。
同じカップを、本人の眼から/背後から見る
仮想空間で利用者を表す身体やキャラクターを、アバターという。アバターが机の赤いカップへ手を伸ばす場面を考える。計算機は、画像を作るための視点の位置と向きを設定する。この設定を仮想のカメラと呼ぶ。撮影機を実際に置くという意味ではない。
本人の眼に相当する位置から画像を作れば、一人称視点(1PP:First-Person Perspective)になる。本人の身体から離れた位置、たとえば背後から画像を作れば、三人称視点(3PP:Third-Person Perspective)になる。本人の眼からも自分の手は見えるので、手が画面に映ることだけでは3PPと判定できない。
同じ場面を、二つのカメラ位置から見る
一人称:本人の眼から見る

自分の手が映っていても、眼の位置が基準なら1PP。
三人称:本人から離れて見る

本人の背中と机の関係を、外側の視点から見る。
判定の基準は、身体の有無ではなく本人に対するカメラ位置。
1PPでは手元とカップを直接見られる。背後の3PPでは背中も含めて身体と机の位置関係を見渡せるが、身体が手元を隠す場合もある。カメラ位置の変化は、使える視覚情報の変化になる。どの見え方が課題に役立つかは、課題の要求と合わせて考える必要がある。
講義p6の鳥瞰視点は、上方から見下ろす配置を指す。身体から離れた3PPの一例だが、低い位置で背後から見る3PPまで全部「鳥瞰」と呼ぶと、高さの違いが分からなくなる。
視点を変えても、動作反映と立体表示は選べる
カメラを背後へ移したまま、利用者が右手を上げるとアバターの右手も上がるようにできる。頭を回したとき景色が対応して変わるようにもできる。身体の動作を測り、体験へ反映するという第1章の身体性は、3PPでも実現できる。
また、左右の眼へ、その眼の位置に対応する異なる画像を送るのが両眼立体視だった。背後の視点でも、そこに左右一対の視点を設定して対応画像を作れる。1PP/3PPは「本人に対してどこから見るか」、立体視は「左右の眼へどんな画像を送るか」を答える分類なので、別々に確認する。
| 確認する問い | 調べる設定 |
|---|---|
| 本人の眼から見るか、身体から離れて見るか | カメラの位置。比較では高さ・向き・視野(見える範囲)も記録する |
| 利用者の動きが体験へ反映されるか | 身体の計測と、表示・アバター動作への対応 |
| 両眼立体視を使うか | 左右の眼へ届ける対応画像 |
この三つの設定だけでは、利用者が「その身体は自分のものだ」と感じたかは分からない。次の節では、装置の設定から、人が感じた内容へ問いを移す。
新しい装置の説明を直す
自作の理解確認: 身体の後方から見る映像で、利用者が頭を回すと景色が対応して変わる。左右の眼へも対応画像を送る。「身体が見えるので3PPであり、3PPだから動作反映も立体視もない」という説明の、正しい部分と直す部分を答えよう。
解答と根拠
身体の後方にカメラを置くので3PPと判定できる。身体が映ることだけを根拠にはしない。頭の動きに景色が対応するので動作反映があり、左右へ対応画像を送るので両眼立体視も使っている。カメラ位置の分類から、この二つがないとは言えない。
根拠:第2回 PDF p6・7 出典の詳細
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