この節の目次
導入
自分の眼で廊下を見ると、普通は自分の顔や背中は見えない。少し離れたカメラで自分を撮影すると、自分の身体も周囲の景色も映る。この「見る位置の違い」が、一人称視点と三人称視点の区別だ。ゲームの種類を暗記するより、映像を作る仮想のカメラがどこにあるかを考えよう。
一言でいうと
一人称視点(いちにんしょうしてん)とは、体験する本人の眼に相当する位置から世界を見る視点。 英語ではFirst-Person Perspective、略して1PPという。三人称視点(さんにんしょうしてん、Third-Person Perspective、3PP)は、本人から離れた観察位置から本人や周囲を見る視点だ。
なぜ必要か
視点の位置は、「自分がここにいる」という体験の手掛かりになる。VRで本人が右を向いたときに、その本人の位置から右側が見えるようにするには、一人称の視点と頭の計測を結び付ける必要がある。三人称視点は自分の身体や周囲との位置関係を見渡すのに便利だが、同じ場面でも体験の仕方が変わる。
小さい具体例
机の上にコップがあり、人物が机へ近づく場面を考える。一人称ではコップが大きく見えるようになり、本人の手が視野へ入ることがある。三人称では机へ近づく人物の全身や背中が見えることがある。「手が映るから三人称」とは判定しない。 自分の眼からでも手は見えるからだ。判定するのは、視点が本人の眼にあるか、本人から離れているか。
場面は同じ。変わるのはカメラの位置
本人の眼から見る

手が見えても、眼の位置が本人なら一人称。
離れた位置から本人を見る

本人の背中と机を、外のカメラから見る。
身体が映るかではなく、どこから見ているか。
仕組み
計算機で映像を作るときは、仮想のカメラの位置と向きを決める。同じ机と人物のモデルでも、カメラを眼の位置に置くか、後方に置くかで結果は変わる。講義のSutherlandのゴーグル型装置は、頭に表示装置を取り付け、自分を中心とする見え方を目指した例だ。
一人称視点と立体視は別の性質でもある。本人の眼の位置から見た平面的な映像も作れるし、第三者のカメラ位置から左右の眼用の立体映像も作れる。「誰の位置から見るか」と「奥行きをどう見せるか」を二つの問いに分けると混同しにくい。
| 観点 | 一人称視点 | 三人称視点 |
|---|---|---|
| 視点の基準 | 本人の眼に相当する位置 | 本人から離れた位置 |
| 自分の見え方 | 手などが見えることはある | 全身や背中が見えることはある |
| 場面の例 | 机へ近づく本人の見え方 | 机へ近づく本人を後方から撮る |
よくある誤解
なぜ起きるか: ゲームの映像では、自分の身体が映るかどうかが目立つ。
NG: 身体が少しでも映っていたら三人称だ。
正しい見方: 本人の眼を基準に見るのが一人称。自分の手が映っても、この基準は変わらない。
説明できる形
「カメラの基準位置 → 同じ場面での見え方」の順で比べる。
説明例: 一人称視点では本人の眼に相当する位置から環境を見る。三人称視点では本人から離れた位置から本人や環境を見る。したがって、同じ人物が机へ近づく場面でも、前者では机が近づく本人の見え方、後者では机へ近づく人物を観察する見え方になる。
確かめよう
自分の眼の位置にあるカメラを使い、目の前の自分の手を表示した。この視点は1PPか3PPか。「身体が見える」以外の理由を一つ書こう。
根拠:第1回 PDF p12・13・14 出典の詳細
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