この節の目次
導入
仮想のボタンを見て押せても、指に何の反応もなければ、実際のボタンを押す感覚とは違う。映像だけでなく、触ったときの振動や力なども体験へ加えると、仮想の物体との関わり方が変わる。第1回の最後は「見える世界」から「身体で感じる世界」へ視野を広げよう。
一言でいうと
ハプティクスとは、触覚や力の感覚に関わる技術・研究の分野。 この講義では触り心地の仮想再現と、仮想世界での人の感覚・振る舞いを扱う。メタバースは人が仮想の空間で活動・交流する場を指す呼び方として登場する。アバタはその空間で利用者を表す存在だ。
なぜ必要か
体験を設計する際、画面に物体が見えることだけでは足りない場合がある。触れた感じ、動かした感じ、他の人と関わる感じをどう作るかが必要になる。また、装置を作っただけでは人がどのように感じるかは分からないため、人の反応を評価する方法も学ぶ。
小さい具体例
仮想のボタンを押すとき、映像だけが押し込まれる場合と、押した瞬間に手元へ短い振動も出る場合を比べる。後者には視覚以外の手掛かりが加わる。ただし、振動を出しただけで、本物のボタンと同じ硬さや押し込み感が完全に再現されたとは言えない。何の感覚を再現したかを具体的に述べることが大切だ。
見ることに、触覚の手掛かりを足す
AI生成 · 操作と振動のイメージ押した瞬間に、短い振動が返る。
映像だけの操作に、身体で感じる刺激を加える。
振動を出すこと ≠ 硬さや重さを完全に再現すること。
仕組み
操作を計測し、仮想環境の状態を計算し、その結果を映像や触覚の刺激として利用者へ返す。ここでも、身体の動きと提示する刺激の対応が重要だ。講義の後の回では人間の知覚・行動を評価する実験へ進む予定なので、今は「入力 → 環境の変化 → 人へ返す刺激 → 人の反応」という関係を押さえる。
メタバースとVRも同義ではない。前者は活動・交流の空間やサービスに注目した語、後者は環境を体験させる技術に注目した語として整理できる。講義のコンサートや街歩きの例は、仮想の場で何をするかを考える入口だ。特定のサービスの機能を、そのままVR全体の定義にはしない。
よくある誤解
なぜ起きるか: 仮想の物体が動くと、触り心地まで再現できているように見える。
NG: 物体を押す映像があれば、触覚も再現されている。
正しい見方: 映像と触覚の刺激は別。何を身体へ提示したかを確かめる。
説明できる形
「提示する感覚 → 操作との対応 → 評価する人の反応」の順で述べる。
説明例: ハプティクスは触覚や力の感覚に関わる技術・研究であり、仮想の触り心地の再現にも用いられる。例えば仮想の操作に合わせて振動を提示すれば、映像以外の手掛かりを利用者へ返せる。ただし、再現した刺激と実際に感じられる効果を分け、人の知覚や行動を評価する必要がある。
確かめよう
第1回の四つの特徴を、仮想のボタンを押す体験へ当てはめよう。さらに触覚の刺激を加えた場合、何を新しく評価する必要があるだろう。
根拠:第1回 PDF p42 出典の詳細
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